All posts

GPOのフォルダーリダイレクトからOneDrive KFMへの移行で発生する競合と安全な切り替え手順

オンプレミスのActive Directory環境で長年運用されてきた「GPOによるフォルダーリダイレクト」。これをMicrosoft 365導入に伴いOneDriveの「既知のフォルダー移動(KFM)」へ切り替える際、単純にポリシーを上書きするだけでは同期エラーやデータ消失のリスクを伴います。本記事では、実務で発生した競合パターンとその回避手順を解説します。

発生する競合

フォルダーリダイレクトが有効な状態でOneDrive KFMを強制適用しようとすると、以下の問題が発生します。

パスの排他制御: リダイレクト先がネットワーク上のUNCパスを指している場合、OneDriveがローカルパスへの「所有権」を取得できず、同期が開始されません。

データの二重化: 切り替えのタイミングがずれると、古いファイルサーバーとクラウド上のOneDriveにデータが分散し、ユーザーが最新のファイルを見失う原因となります。

事前検証手順

テスト用OUの作成: 影響範囲を限定するため、検証用のOUを作成し、テスト端末とテストユーザーを配置します。

リダイレクト設定の「解除時動作」確認: GPOの「設定が削除されたときに、フォルダーをローカルのユーザープロファイル場所にリダイレクトし直す」が有効になっているか確認してください。

具体的な移行手順

GPOのリンク解除: まず、フォルダーリダイレクトのGPOを無効化(またはリンク解除)し、端末がファイルをローカルプロファイル(C:\Users\username...)へ書き戻すのを待ちます。

OneDrive設定の配信: IntuneまたはGPOを用いて、OneDriveの「既知のフォルダーをサイレントに移動する」ポリシーを適用します。

確認: shell:Personal 等のコマンドで、ドキュメントフォルダのプロパティがOneDrive内のパスに書き換わっていることを確認します。

まとめ

リダイレクトからクラウド同期への移行は、一度「ローカルの状態」を経由させることが最も安全です。焦ってポリシーを同時に当てないことが、ヘルプデスクへの入電を減らす鍵となります。

付録: Microsoft公式の手順との違いと、切り替え前のチェックリスト

(2026-10-01 追記)Microsoft Learn の「Redirect and move Windows known folders to OneDrive」では、フォルダーリダイレクトからKFMへの移り方を、リダイレクト先の種類ごとに3通りに分けています。

今のリダイレクト先

公式の手順

OneDrive上

リダイレクトのGPOを無効化(中身はOneDriveに残す)→ KFMのポリシーを有効化。フォルダーはOneDriveに残る

同じPCの別の場所

リダイレクトのGPOを無効化(中身はその場所に残す)→ KFMのポリシーを有効化。フォルダーがOneDriveへ移動する

ファイルサーバー(ネットワーク共有)

Migration Manager で共有の中身を各ユーザーのOneDriveの「ドキュメント」「ピクチャ」「デスクトップ」へコピー → リダイレクトのGPOを無効化(中身は共有に残す)→ KFMのポリシーを有効化。既存のフォルダーと合流する

本文の「一度ローカルに戻してからKFMを配る」は、ファイルサーバーにリダイレクトしている場合の別のやり方です。使い分けの目安(筆者の判断)は次のとおりです。

・対象のユーザーが少なく、ファイルの量も少ない: 本文のやり方で進めやすい。各PCがログオン時にファイルをローカルへ書き戻す
・ユーザーが多い、またはファイルが多い: 公式のMigration Manager経由の方が、各PCにいったん全部を書き戻さずに済む

公式の手順で押さえておきたい点です。

・Migration Managerがフォルダーを新しく作る場合は、「Preserve file share permissions」を選ばない
・KFMのポリシーは「ミュージック」「ビデオ」を対象にしない。この2つはフォルダーリダイレクトのまま残せる
・サイレント移動のポリシー(Silently move Windows known folders to OneDrive)は、既存の端末なら1日1,000台・週4,000台までに抑えて展開するよう推奨されている
・ファイルが多いユーザーがいる場合は、「Limit the sync app upload rate to a percentage of throughput」で一時的にアップロードの帯域を絞り、終わったら外す
・一度移動したフォルダーには、後から対象フォルダーの選択を変えてもポリシーは効かない
・ユーザーに元へ戻させない場合は「Prevent users from turning off Known Folder Move」を使う

切り替え前のチェックリスト

□ ユーザーごとに、今のリダイレクト先(OneDrive/同じPC/ファイルサーバー)を把握した
□ ファイルサーバーの場合、移行のやり方(本文のローカル経由/公式のMigration Manager経由)を決めた
□ ローカル経由の場合、リダイレクトのGPOで「ポリシーが削除されたときに、フォルダーをローカルのユーザープロファイルの場所にリダイレクトし直す」が有効になっている
□ 1日あたりの展開台数を決めた
□ ファイルが多いユーザー向けに、アップロード帯域の制限を一時的に使うかを決めた
□ 「ミュージック」「ビデオ」のリダイレクトを残すかを決めた
□ 確認方法(shell:Personal でドキュメントの場所を見る)と、ユーザーへの案内文を用意した

出典: Microsoft Learn「Redirect and move Windows known folders to OneDrive」(2025-03-27更新)


■ この記事に関連するテンプレート

KFMのような移行では「どの端末がいつ切り替わったか」を追えるかどうかで、トラブル時の切り分けの速さが変わります。PCのキッティング手順と端末台帳をNotionで管理するためのテンプレートを作りました。
まずは無料版で、使い方が合うかを確かめてみてください。

▶ 無料版(情シス向けNotionテンプレート3種)を見る
▶ 端末キッティング運用マネジメントハブ(¥2,980)

Discussion

No comments yet